競輪の代謝とは?代謝になる条件や理由・ボーダーラインまで徹底解説!
競輪予想サイト解体新書の検証担当「近藤 宗康」です。
今回は競輪の代謝について紹介します。
好きな競輪選手の引退は、競輪ファンなら誰もが経験する淋しい出来事でしょう。
引退には、新しい目標に向かって歩み出すような明るいものもありますが、そのほとんどは少し悲しい理由によるものが占めています。
中でも、通称・足切りと呼ばれる代謝による引退は、選手もファンも受け入れがたい制度に間違いないでしょう。
今回は、そんな競輪の代謝について徹底解説!
代謝の審査期間や対象となる条件、代謝により引退した有名選手まで、競輪の代謝のすべてをお届けします!
ぜひ最後までご覧ください。
目次
代謝とは?
まず、代謝とはなんなのか。
ご紹介します。
代謝とは、一定の期間内に成績がボーダーラインを下回った選手に対する戦力外通告。
別名「登録審査制度」と呼ばれます。
簡単に言えば”クビ”ということです。
ただ、一般企業で言うクビとは若干異なります。
一般企業 | 競輪選手 |
---|---|
・人員削減の必要性がある場合 ・会社が解雇を回避するための努力をした場合 |
・一定のボーダーラインを越えられなかった場合 |
一般企業は「仕事できないからクビ」という解雇はできません。
一方競輪選手は、決められた審査の元弱いと判断されたらクビ確定です。
例え人気のある選手だとしても、ボーダーラインを越えられなければ代謝は逃れられません。
厳しい判断のように思いますが、いつも車券に絡まないのでは該当する選手絡みの車券が売れないと言うことでしょう。
競輪ファンには「切れる選手」が居ることはメリットに感じますが、オッズが偏ることで極端に配当が安くなるといったデメリットも考える必要があります。
審査期間は半年に1回!
競輪の代謝は、級・班を分ける審査期間と同じ仕組みになっています。
審査期間は以下の通り。
前期 | 1~6月 |
---|---|
後期 | 7~12月 |
審査期間は前期・後期の2回。
その期間、すべての選手の競走得点を算出しています。
そして、ボーダーラインを越えられなかった選手は代謝が確定。
競輪選手はプロとして強くなくてはならないのです。
1度代謝になった選手は復帰できない!
代謝制度で強制的に引退させられる選手は今後復帰できるのでしょうか。
結論から言うと、代謝制度に引っかかった選手は復帰できません。
その理由は、競輪選手になるまでの過程にありました。
日本競輪選手養成所〜応募資格〜
以下のいずれにも該当しないこと。
ア.競輪選手として登録された者(消除者を含む)。
–keirin.jpより引用-
競輪選手になるためには、まず日本競輪選手養成所に入学する必要があります。
しかし、競輪選手として1度登録された人は、登録削除されたとしても養成所に入ることが許されていない。
そのため、代謝した選手は選手に復帰することはできないということです。
代謝を行うのは選手のレベルを一定に保つため!
審査に通らなければクビになってしまうという代謝制度。
では、なぜこの制度はあるのでしょうか。
その理由は、プロ選手としてのレベルを一定に保つためです。
仮に、競輪に代謝が無いとどうなるか。
- 勝つ選手はいつも決まっている
- オッズは偏るのが当たり前で安くなる一方
- まったく勝てない・やる気がない競輪選手が一定数いる
これでは、競輪という競技が今以上に盛り上がることはないと考えられます。
代謝があるおかげで選手たちは常に勝とうとする意欲を持ち、トレーニングを重ね強くなろうとする。
選手たちの努力が分かるから、競輪ファンとして力の劣る選手の一発に期待もするわけです。
代謝は厳しい制度ではありますが、競輪をより深みのある競技にするためには必要ということでしょう。
代謝制度が与えるレースへの影響をご紹介!
ここまでで、競輪の代謝制度がどのようなものなのかわかったでしょう。
では、この制度はレースにどのような影響を与えるのか。
現在出ている影響は以下の2つです。
- 6・12月の欠場の過多
- A3レースが荒れやすくなる
それぞれ詳しく解説します。
審査期間末月は欠場が多くなる
先述した通り、代謝制度の審査期間は2回に分かれています。
そして、その審査期間の末である6月と12月は欠場選手が多くなるのです。
では、なぜ欠場選手が多くなるのか。
考えられる理由は「負ける可能性があるから」でしょう。
仮に、審査に通ることが確定しているがギリギリという選手がいたとします。
その選手が審査期末月のレースで負けてしまった場合、通るはずだった審査に通らなくなるかもしれないのです。
つまり、ボーダーラインに到達しているが、負けて代謝になる可能性があるならレースに出ないということ。
少しズルい考えではありますが、代謝制度がある限り合理的な考え方と言えるでしょう。
A3レースは荒れやすくなる
競輪には、選手の強さを表す階級があります。
最も強い選手はS級S班・実力が劣る選手や新人選手はA級3班に振り分けられます。
この中で代謝が近いとなれば、A級3班の選手です。
そんな代謝の可能性が高い選手は、なんとしても勝ちに行くことが考えられます。
特に、6・12月は審査期末月。
あとがない選手はかなり必死です。
激しい競りやラインの裏切りなんかもあるかもしれません。
そのため、6・12月のレースは荒れやすくなってしまうのです。
代謝になる条件は3つ!競輪・ガールズケイリンでボーダーが異なる!
代謝対象になるのは男女それぞれの成績下位の選手ですが、大雑把なものではなく競走得点により厳密に定められています。
そのため、男子選手の場合は基本的にA級3班の選手が対象。
ガールズケイリンには現時点で級班が無いため、全選手が対象です。
男子選手、女子選手で代謝対象になる点数・ボーダーラインが違うので、さらに詳しく解説していきましょう。
男子選手の場合
男子選手の代謝対象となる条件は以下の3つ。
- 2期連続で競走得点が70点未満
- 3期通算で平均競走得点が70点を下回った選手
- 上記の条件に当てはまる成績下位30名
男子の場合、代謝を免れるボーダーラインは71点ということに。
少し分かり辛いので一例を挙げて説明します。
共にA級3班の選手だと仮定し、それぞれの期別競走得点と平均競走得点を表にしました。
選手名 | 1期目 | 2期目 | 3期目 | 3期平均 |
---|---|---|---|---|
A | 69 | 68 | 68 | 68.3 |
B | 68 | 66 | 72 | 68.6 |
C | 68 | 69 | 76 | 71.0 |
D | 64 | 72 | - | - |
A選手はすべての期で競走得点70点を下回ったため、問答無用で代謝対象。
また、B選手は3期目に72点を超えていますが、1、2期が70点未満かつ、3期の平均が70点未満のためこちらも代謝対象です。
一方、同じような成績のC選手は、3期目で頑張った結果、平均71点となったので代謝対象とはなりません。
D選手は2期目に競走得点72点となったため、この時点で代謝対象から外れることができました。
このように、ボーダーを越えられない選手は強制的に引退です。
審査期末月に欠場が多くなるのもわかります。
ガールズケイリンの場合
次に、ガールズケイリンの代謝対象となる条件について。
ガールズケイリンの代謝対象となる条件も以下の3つです。
- 2期連続で競走得点が47点未満
- 3期通算で平均競走得点が47点を下回った選手
- 上記の条件に当てはまる成績下位3名
ガールズケイリンの場合は代謝を免れるボーダーラインは48点と言えそうです。
こちらも分かり辛いので一例を挙げて説明します。
選手名 | 1期目 | 2期目 | 3期目 | 3期平均 |
---|---|---|---|---|
A | 44 | 45 | 46 | 45 |
B | 44 | 45 | 48 | 45.6 |
C | 46 | 46 | 50 | 47.3 |
D | 45 | 48 | - | - |
A選手はすべての期で47点を下回ったため、残念ながら代謝対象となります。
B選手は3期目に頑張り競走得点48点としましたが、3期平均が47点を下回ったため代謝対象。
一方、C選手は3期平均で47点を超えたため、代謝対象では無くなりました。
また、D選手も2期目に47点を超えたことから代謝の対象から外れたというわけです。
男子選手と比べて、ガールズケイリン選手の47点は「ゆるい設定」なのだとか。
今は、ガールズケイリン選手を増やしたいという考えなのかもしれません。
過去に代謝になった有名選手をご紹介!
代謝は競輪にとって必要な制度とは言え、引退はファンにとって淋しいものです。
ここからは代謝によって惜しまれながら引退した有名選手を紹介します。
森美紀
選手名(ふりがな) | 森 美紀(もり みき) |
---|---|
期別 | 102期 |
デビュー日 | 2012年7月1日 |
最終戦績 | 444戦25勝 優勝4回 |
引退日 | 2019年6月3日 |
森美紀選手は2012年にガールズケイリン1期生としてデビューしました。
デビュー当時、すでにお子さんがいた森美紀選手はママさんレーサーの先駆けだったようですね!
引退の直接的な理由は分かりませんでしたが、本人はこのようなコメントを残していました。
代謝制度で今期限りになるが、デビュー時に登録していた岡山の玉野競輪場で引退することになりました。
今後は(同期の)加瀬加奈子ちゃんがママさんレーサーとして頑張ってくれますよ。
悔いは残っていない。
ママでもケイリン頑張りました。これからはママを頑張ります。
森美紀選手の引退セレモニー等を見ると、彼女らしい笑顔で、やり切ったことを報告する晴れやかなものでだったようですね。
山本レナ
選手名(ふりがな) | 山本 レナ(やまもと れな) |
---|---|
期別 | 106期 |
デビュー日 | 2014年5月3日 |
最終戦績 | 361戦25勝 |
引退日 | 2018年7月17日 |
山本レナ選手は2014年デビューしたガールズケイリン選手です。
全国高校選抜スクラッチで優勝するなど学生時代から活躍した山本選手は、その後、父・真矢さんと同じ競輪選手の道へ。
デビュー後の山本レナ選手は、かわいいガールズケイリン選手として大人気になり、ガールズケイリンのPR「顔より太もも」ポスターにも起用されました。
ですが、持病のヘルニアによる腰痛で思うような成績が取れず、代謝対象となってしまいました。
現在でもかわいい山本レナさんですが、ツイッターで情報発信しているので気になった方はフォローしてみてはいかがでしょうか。
ちなみに・・・
山本レナ選手の競輪選手時代のことから引退までこちらにでまとめているので、気になった方は是非ご覧ください。
濱野咲
選手名(ふりがな) | 濱野 咲(はまの さき) |
---|---|
期別 | 120期 |
デビュー日 | 2021年5月1日 |
最終戦績 | 122戦0勝 |
ラストラン | 2023年12月28日 |
2021年5月にデビューした濱野咲選手。
学生時代はバスケットボール部でキャプテンとして活躍していたそうです。
その後、競輪学校に合格。
競輪学校での厳しい訓練に耐え、無事卒業しプロデビューを果たすことができました。
しかし、2022年12月で引退。
代謝制度のボーダーを超えることができず、わずか1年半でのストレート代謝となりました。
ラストランでは、競輪ファンからの熱い声援が響き渡りましたが結果は6着。
競輪選手としての人生で、1度も勝利を収めることができませんでした。
ただ、どんなに可哀想な状況に置かれている選手がいても力を抜かなかった出走メンバー。
ラストランだとしても諦めず本気で走った濱野咲選手は、尊敬に値するでしょう。
今後良い意味で、永久に語り継がれるのではないでしょうか。
代謝になった男子選手が少ない理由!
今回ご紹介した代謝制度で引退した選手を見ると、皆ガールズケイリン選手です。
では、なぜ男子選手は代謝が少ないのか。
これまで引退した選手の中でも、有名な選手から考察してみます。
中野浩一
数々の偉業を達成した中野浩一さん。
引退した後も、レジェンド選手として語り継がれています。
そんな中野浩一さんが引退したのは、代謝制度によるものではなく自らの引退表明です。
ラストランは、1992年の高松宮杯競輪(現在の高松宮記念杯競輪)。
世界からも注目されていた中野浩一さんですが、唯一優勝できなかった大会です。
このレースで「全盛期ほどの力がなくなった」と感じ引退に至ったとされています。
つまり、男子選手は「プロとしてのプライド」が大きく、代謝になるくらいなら自ら引退するということでしょう。
確かに、代謝とは戦力外通告のことなので「世間から強い選手という認識を最後にしたい」という気持ちはわかります。
ただ、競輪ファンとしては「もっと走っている姿を見たかった」と感じるのではないでしょうか。
競輪の代謝まとめ!
今回は、競輪の代謝についてご紹介してきました。
いかがだったでしょうか。
まとめると以下の通りです。
- 競輪の代謝は強制引退となる厳しい制度
- 前期(1~6月)後期(7~12月)の審査期間で代謝対象選手が決まる
- 競輪の代謝は競技レベルを上げるために欠かせない制度
- 代謝により引退した選手は復帰できない
- 男子選手はA級3班、ガールズケイリンは全選手が対象
- 競輪の代謝は競走得点により厳格に定められている
- 代謝になる選手はガールズケイリン選手が多い
どんなものにも終わりはあります。
しかし、終わりくらいは自分で決めたいものです。
競輪のプロという世界の壁はかなり分厚いということでしょう。

競輪には、言わずとしれた「稼ぎやすいレース」が存在します。
しかし、末端の一般人ではそういった情報は手に入りません。
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