競輪のラインはなぜ組まれる?決まり方から予想する際の注意点をご紹介!
競輪予想サイト解体新書の検証担当「近藤 宗康」です。
今回は、競輪のラインについて紹介します。
国内には競馬や競艇・競輪などの公営ギャンブルがあり、それぞれが異なる楽しさや特徴があります。
その中でも競輪の「ライン」と言うのは、競輪独自の要素です。
競輪初心者の方たちにとっては、イメージしにくい用語かもしれません。
しかし、競輪におけるラインは切っても切り離せないものであり、レース展開を読む上で欠かせない要素の一つです。
今回は、そんな競輪のラインについて解説!
ラインを組む理由・種類とセオリー・予想への活かし方など幅広くご紹介します。
競輪初心者の方にも読みやすい内容となってますので、ぜひ最後までご覧ください。
目次
競輪のラインとは?
競輪のラインとは、選手が最終盤まで組むチームのことです。
ライン内の配置は、各選手の得意な走り方を基に決まることが多くなっています。
そのため、逃げ脚質の選手がラインの先頭に立ち、追い脚質の選手は番手選手としてライン後方を走ることが一般的です。
しかし、ラインはゴールするまで続くわけではありません。
レース終盤になると崩れ、それぞれが個人戦へと変わります。
競輪は、チームで戦う一面もあることを頭に入れておきましょう。
ラインを組む3つの理由
個人戦で戦うのであれば、なぜわざわざラインを組むのか。
そんな疑問を抱く方もいるでしょう。
しかし、競輪選手が最大限の実力を発揮する上でラインを組むことは、非常に重要です。
そんなラインを組む理由について以下3つに分けて説明します。
- 各々の得意な走りをするため
- 車券に絡みやすくするため
- 実力上位の選手に勝つため
それぞれ詳しく見ていきましょう。
各々の得意な走りをするため
競輪は最高で時速70km近いスピードが出ると言われています。
そのため、先頭を走る選手は風による空気抵抗を直に受け、バテやすくなることに。
その反面、前方に人がいないので、自分のタイミングで仕掛けることが可能です。
番手選手は風による影響を受けにくくなりますが、後方で走ることになります。
先頭と番手のどちらにおいても、メリットとデメリットがあると言えるでしょう。
こういった条件のもとで、選手各々が得意な走りをしやすくするためにラインが組まれます。
車券に絡みやすくするため
競輪では、同じライン同士の選手で1着・2着となることをスジ決着と呼びます。
確率でいうと、48.54%と競輪レースの半数近くがスジで決着していることに。
レース開催地の競輪場や天候などの影響にもよりますが、スジ決着する確率が高いです。
これは最終盤までラインで連携して動く分、先行したラインがそのまま上位となるからでしょう。
そのため、車券に絡みやすくなるという観点から、ラインを組む選手は多くなっていることが考えられます。
実力上位の選手に勝つため
競輪はラインを組むことで、個人戦からチーム戦へと変化します。
仮にラインがないレースとなれば、各選手の実力だけで、レースの勝敗が決まってしまうでしょう。
しかし、9車立てレースにて2対7というラインができると、選手の実力に関係なく、そのレースは圧倒的に7人ラインが有利となります。
実力が劣る選手であったとしても、ラインを組むことで味方が増え、アシストし合えるので、実力のある選手に勝てる可能性が増えるからです。
競輪においてラインを組むことは、レースの勝敗を左右させる重要な要素であるでしょう。
ラインにおける先頭と番手の役割
競輪のラインは、ランダムに並びが組まれるわけではありません。
レースで勝利する確率を上げるために、それぞれの選手が強みに沿った役割を担い、配置が決まります。
この役割について、下記2項目に分けました。
- 先頭選手:仕掛けるタイミングを決めラインを上位へ運ぶ
- 番手選手:後方から捲る選手をブロックする
それぞれ詳しく解説していきます。
先頭選手:仕掛けるタイミングを決めラインを上位へ運ぶ
先頭選手はラインの一番前に立つことで、ラインの動きを先導して決めることが役割です。
絶好のタイミングで仕掛けるといった前方を走る選手を抜き、上位へ運ぶためのレース展開を作ります。
ただし、先頭を走る上で風を受けることになるので、体力のある地脚タイプの選手が先頭選手に配置されやすくなるでしょう。
番手選手:後方から捲る選手をブロックする
番手選手とはラインの2番目以降、つまり先頭選手の後方を走る選手を指します。
役割としては、後方から来る別ラインの追い込みや捲りを決めようとする選手をブロックすることです。
先頭選手とは異なり、風による抵抗は受けにくいですが、前方だけでなく後方にも注意を払う必要があります。
番手選手には、最終的にラインの先頭選手を追い抜くため、スピードに自信のあるスプリンタータイプの選手が配置されやすくなるでしょう。
ラインは選手間の関係値の深さで決まる!
ラインを組む上で、選手同士の連携と信頼が求められます。
では、どのようにしてラインは決められるのでしょうか。
ラインが決められる条件として、隣接地域・同じ地域・同じ件・同じホームバンクであるかによって関係値は変化していきます。
まず、1番関係値が弱いのが隣接地域です。
競輪では、以下8つの地区に分けられています。
地区 | 同地区の都道府県 |
---|---|
北日本 | 北海道・青森・秋田・岩手・山形・宮城・福島 |
関東 | 茨城・栃木・群馬・埼玉・東京・山梨・長野・新潟 |
南関東 | 千葉・神奈川・静岡 |
中部 | 石川・富山・三重・岐阜・愛知 |
近畿 | 滋賀・京都・奈良・大阪・和歌山・福井・兵庫 |
中国 | 鳥取・島根・広島・山口・岡山 |
四国 | 香川・高知・愛媛・徳島 |
九州 | 佐賀・長崎・大分・熊本・宮崎・福岡・鹿児島・沖縄 |
基本的に隣接地域まで出向いて、練習する機会が多くないため、隣接地域の選手との関係性が生まれにくいと言えるでしょう。
一方で、1番関係値が強いのが同じホームバンクの選手です。
同じホームバンクであれば、練習する中での関わりが自然と増えます。
お互いの走りの特徴を理解しやすいので、ラインが組みやすくなると言えるでしょう。
このように出身地とラインの関係性は大きいので、選手の出身地は積極的に確認するようにしてください。
レースの選手のラインがどうなるのか具体的に知りたい方は、公式サイトの並び予想を参考にすると良いでしょう。
例外として、同じ地域だからこそライバル意識を持ち、ラインを組まないといったケースも存在します。
普段の選手のインタビューやSNSでもどの選手と関わりが深いのか確認できることもありますので、日頃からチェックしてみるのも良いかもしれませんね。
ラインを裏切ることはあるのか?
選手同士の関係性で成り立つラインですが、そこに裏切りはあるのでしょうか。
結論から申し上げると、ラインを裏切ることはあります。
頻繁に起きることはありませんが、ルール上で禁止されているわけではありません。
ラインの裏切りは関係値が薄いほど起きやすい傾向にあり、レース中にライン内の選手の走りに不満を持った選手などがラインの裏切りをすることがあります。
しかし、この行為にはリスクが多く「ラインを裏切った選手」というレッテルが貼られ、今後のレースでラインを組むことを拒まれかねません。
そうなると、レースを単独で走ることとなり不利なレースを強いられます。
ラインの裏切りは滅多に起きませんが、可能性としてゼロではないことを理解しておきましょう。
ラインを構成する選手間で八百長はあるのか
八百長というワードは、相撲などのスポーツで疑惑が出たりすることがあります。
八百長とは勝負事で、前もって勝敗を打ち合わせておいて、うわべだけ真剣に勝負すること。なれあいの勝負。
–コトバンクより引用-
競輪でも八百長に関する疑いの声が挙がる時があり、SNS上でも競輪の八百長があるからつまらないといった内容のポストも見受けられます。
1番人気してるラインを中団において突っ張り先行
— とみー@競輪 疫病神 (@tommy_keiba) September 1, 2024
八百長でしかない
しかし、多くのケースは八百長ではなく、あくまでラインを維持したまま勝利するための戦略であることが多いです。
例えば、3番手の選手が前方選手を追い抜くことよりも、後方の他のラインを気にしていたとしましょう。
この場合に考えられるのは、後方から追い抜かされた際に自身のラインの連携が崩されてしまう事で、順位が落ちてしまうというリスクです。
ラインを組む選手にとって、基本的には最終盤までラインを崩されないように維持することが優先されるでしょう。
また、JKA(日本競輪協会)により八百長ができないように徹底的な取り締まりがあります。
取締内容として、レース期間中での外部との接触禁止や競輪場敷地内への携帯電話の持ち込み禁止など厳格なものばかり。
違反を犯した選手には、失格や契約解除などの処罰が下されます。
選手生命を絶たれてしまいかねないリスクを取ってまで、八百長をする選手がいるとは考えにくいでしょう。
予想に活かせるラインのセオリーをご紹介!
競輪のライン編成には複数の種類が存在し、それぞれが異なる戦略や意図をもったラインとなっています。
ここでは、そんなライン編成をセオリーに混ぜ込み、以下4つに分けてご紹介。
- 先行ラインが3名編成なら2番手の選手が有利
- 先行一車は圧倒的に先頭選手有利
- 2分戦なら先頭選手の強さで有力ラインが決まる
- 単騎がいる場合は過去レースで実力を図る
それぞれ詳しく解説していきます。
先行ラインが3名編成なら2番手の選手が有利
先行ラインが3名編成の場合は先頭選手が風の抵抗を吸収し、3番手の選手が後方からの選手をブロックすることに徹します。
そのため、2番手の選手は体力をできるだけ残したまま、虎視眈々と差しを狙えるポジションに。
3名編成でのラインで最もスピード勝負がしやすいと言えるでしょう。
ただ、レース終盤までの展開は先頭選手に委ねる必要があるので、2番手の選手の実力を発揮するには先頭も走れるような脚の強さも求められます。
先行一車は圧倒的に先頭選手有利
先行一車とは、逃げ脚質の先行選手一人だけのレースを指します。
かなり珍しいレースですが「先行一車は黙って買え」という言葉があるくらい目玉レースとして注目されがちです。
その理由として、同じ逃げ脚質の選手がレースにいないことで自身だけが得意とする走りを最大限に発揮しやすいからだと言えます。
同じ逃脚の選手との駆け引きがない分、体力を消耗しにくいです。
なので、先行一車のレースがある場合は、チェックするようにしましょう。
2分戦なら先頭選手の強さで有力ラインが決まる
2分戦とは、2つのラインで構成されたレースのことです。
ライン数が少ないことから、比較的レース展開が読みやすい傾向にあります。
2分戦の場合、ラインの先頭を走る選手が2名しか存在しないため、先頭選手の強さでラインのレース展開が大きく変わると言えるでしょう。
そのため、2分戦で予想する時は先頭選手の実力で有力ラインを選定し、そこから軸を選出するようにしてください。
単騎がいる場合は過去レースで実力を図る
競輪では、すべての選手が必ずラインを組むというわけではありません。
そのため、中にはラインを組まず一人でレースを組み立てることがあり、このことを単騎と呼びます。
単騎の選手はアシストしてくれる選手がいないことになりますが、自在に走ることが可能です。
そのため、周りがラインを組んでいるのをかき乱すことができるといった戦い方ができます。
実力のある単騎の選手は、ラインを組んでいなくても車券に絡む可能性が大いにあるので、過去のレース実績を振り返り、実力を図るようにしましょう。
セオリーが崩れる?ラインが分断してしまうケース3選
ここまで競輪においてラインを組むことで、いかにレースを優位に進めることができるか紹介してきました。
しかし、そんなラインも100%戦略通りに働くわけではありません。
ここでは、以下3つに分けてラインが分断してしまうケースについて紹介していきます。
- ラインの選手間の実力差がありちぎれてしまう
- 単騎の選手の割り込みがある
- 落車がある
それぞれ詳しく解説していきます。
ラインの選手間の実力差がありちぎれてしまう
ラインを組んだとしても、選手間での実力差が出てくる場合があります。
その場合、実力がある方の選手は思うようなレース展開をしづらくなり、実力の劣る選手が置き去りにされてしまう可能性が出てきます。
結果として、1着・2着にライン違いの選手が並ぶことに。
こういった形で決着がつくことを、スジ違いと呼びます。
予想する時は、事前に出走表の競走得点と勝率を確認するようにしてください。
同じラインでの差が大きい場合はスジ違いとなる可能性が高いので、他のラインでの選手も車券に絡めるようにしましょう。
単騎の選手の割り込みがある
ラインを崩す行為は、競輪では違反行為ではありません。
単騎の選手は一人で走るので、自身の好きなように戦略を考えることが可能です。
そのため、他のラインに割り込みをすることで、ラインの選手達を勝たせないようにすることもできます。
出走レースに単騎の選手が参加する時は、ラインの選手がスジ決着しない可能性が十分にあることを押さえておきましょう。
落車がある
落車とは、その名の通り自転車から転倒し、落ちてしまうことを意味します。
実際に落車が起きてしまうと、コンマ数秒を競い合う競輪において最下位になってしまうことは当然でしょう。
また、落車した当人だけでなく、巻き込まれた選手は上位に絡む事は難しくなります。
レースグレードが上がるにつれ、実力が拮抗しているレースが多くなるため、落車は発生しやすいです。
主に、雨によるスリップや他の選手との接触によって起きてしまいます。
落車の可能性を感じるレースは、勝負しないという選択肢をとっても良いでしょう。
周長別!上位が同じラインで決まる確率を大公開!
競輪上のバンクはすべて同じ周長にはなっていません。
各バンクの周長に対する同じラインで決まるスジ車券率を以下にまとめました。
バンク長 | スジ車券率 | スジ違い車券率 |
---|---|---|
333m | 51.01% | 48.99% |
400m | 48.39% | 51.61% |
500m | 44.92% | 55.08% |
全会場平均 | 48.54% | 51.46% |
周長が短くなるにつれて、スジ車券率が高くなっていることが分かります。
つまり周長が短くなればなるほど、ラインで決着がつきやすいということです。
その理由として、周長が短くなると周回数が増えることが挙げられます。
周回数が増えるということは、コーナーを走る回数も増えるので、ラインの番手選手はより先頭選手から離れまいという意識が強く働くことに。
そのため、自ずと最終盤までラインが崩れにくいことになります。
周回数が多い333バンクは、スジ決着になりやすいという点を押さえておきましょう。
地区別の有名なラインをご紹介!
競輪では、この選手とあの選手が同じレースであれば、必ずラインを組むと行った定番のラインが存在します。
今回はその中でも、特に有名なラインを地区別に分けてご紹介していきます。
重賞レースなど有名ラインが組まれやすい大会などで予想する時は、是非参考にしてください。
北日本ライン
北日本ラインの有名ラインは、新山響平選手と新田祐大選手との組み合わせです。
第64回競輪祭では、この2選手含む4選手が北日本ラインとして並びました。
このレースでは終盤まで新山響平選手が番手を取り、後方ラインをブロックすることに徹します。
レース最終盤になると、一気に先頭に出て逃げ切る形で勝利。
自身の役割を遂行した結果、最後に得意の走りを発揮できる環境が整うことができたレースとなりました。
南関東ライン
南関東地区で有名なラインは、郡司浩平選手と北井佑季選手です。
第39回読売新聞社杯全日本選抜競輪にて、この南関東ラインが活躍しました。
レース後半で、後方を走る南関東ラインから北井佑季選手が切って前方に出てきます。
先頭を走る北井佑季選手に続き番手の郡司浩平選手が、最後の直線で差し込み勝利しました。
見事にラインの連携が取れたレースと言えるでしょう。
近畿ライン
近畿ラインの古性優作選手と脇本雄太選手のコンビは、競輪ファンで知らない方はいないほど有名です。
そんな古性優作選手と脇本雄太選手のラインでのレース展開で特徴的なのが、第74回高松宮記念杯競輪。
それぞれの強みが活かされたレースとなっています。
先頭を走る脇本雄太選手に続いて古性優作選手が番手という並びになっています。
レース後半で9番車が前に出ようとしますが、先頭の脇本雄太選手が加速して距離を広げることで後方をブロック。
その後も5番車が後方から仕掛けますが、番手の古性優作選手が捲くらせないようブロックします。
後方からの選手を入れさせない形で、最終直線まで近畿ラインを保ち、古性優作選手が勝利しました。
番手選手だけでなく先頭選手も後方を警戒することで、崩されない強靭なラインを保持できたと言えるでしょう。
中国ライン
中国ラインで有名なのは、松浦悠士選手と清水裕友選手のラインです。
このラインでのレース展開は、KEIRINグランプリ2023にて確認することができます。
清水裕友選手が先頭選手、松浦悠士選手が番手選手としてレースが進みます。
レース残り1周から、清水裕友選手が番手に切り替わり後方は任せたと言わんばかりの姿勢に。
それを信じた松浦悠士選手は前方だけをみって一気に加速し、そのまま差し込む形で勝利しました。
レース中にライン内の配置が切り替わるという高度な動きができたのも、清水裕友選手と松浦悠士選手が信頼できる関係だったからだと言えるでしょう。
競輪のラインまとめ
今回は競輪のラインについてご紹介してきました。
いかがだったでしょうか。
まとめると以下の通りです。
- ラインとは選手が最終盤まで組むチームのこと
- ラインを組むことで得意な走りができる
- 実力上位の選手に勝つためにもラインは有効
- ラインには先頭と番手でそれぞれ役割がある
- ラインは同じホームバンクの選手達で組まれやすい
- ラインの裏切りは存在する
- 2分戦のレースは初心者におすすめ
- ラインが分断してしまうこともある
- 最もスジ決着になりやすいのが333mバンク
ラインを組むことは、競輪が持つ独自の戦い方です。
ラインを予想することで、より深いレースの展開を読むことができます。
ラインを理解しておくことは、競輪を予想する上で欠かすことはできません。
今回ご紹介した競輪のラインについての解説を押さえた上で、勝負に挑みましょう!
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